2021.05.26

岡崎慎司はなぜウエスカの2部降格を阻止できなかったのか。去就に注目

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by ZUMA Press/AFLO

 1部初挑戦となった岡崎は活躍を期待されていた。そして、シーズン前半戦は定位置を確保。昨年12月にはグラナダ戦で初得点を記録し、ゴール量産の予感もあった。

 事実、その直後のアラベス戦でも2度のゴールシーンに沸いたが、どちらもVARで取り消された。昨シーズンもVARで7得点を取り消されており、その中には明らかに正当なゴールもあっただけに、またも不運に泣かされることに。ゴールゲッターとして、勢いがつきかけたところで水を差されることになった。

 年が明けると、岡崎はレギュラーからスーパーサブに降格し、3月にはベンチ要員に転落した。監督が2部時代からの恩師ミチェルからパチェタに交代したことも、向かい風になった。高さもパワーもスピードもあるラファ・ミル、バルサ育ちでキッカーとしても異彩を放つサンドロ・ラミレスというスペイン人FWにポジションを奪われた。それによって、チームの成績も好転していたのだ。

 岡崎の特徴は「Listeza(利発さ、鋭敏さ)」と評価されてきた。ゴールに向かって明快なプレーができる。サッカーは絶え間なく人とボールが動き、スペースが広くなったり、狭くなったりするスポーツだが、そこで正しい選択ができる。味方の癖を読み、敵の弱点を見抜くことで、準備の時点で勝れるのだ。

 その能力のおかげで、日本人選手の2部最多得点記録を更新した。

 1部でも、その力量は通じるはずだった。全盛期の岡崎だったら、適応することで成長を遂げていたかもしれない。しかし、35歳のベテランに爆発力を求めるのは酷だったか。

 1部と2部ではその精度やスピードに格段の差がある。しかも非力だったウエスカでは守備の仕事を求められ、そこで頑張るほどにゴールは遠くなった。残留をかけたシーズン終盤、一発のあるストライカーが重用され、岡崎が不遇をかこったのは必然だったかもしれない。

 2020?21シーズン、岡崎は25試合出場(うち14試合が先発出場)、1得点という記録を残した。悲観するほどの数字ではない。1部昇格の殊勲者だけに、ファンの間での愛情は失われていない。