落日のサッカー王国ブラジル。いい選手はいてもスターがいなくなった理由 (4ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 ただし、希望がないわけではない。優秀と言われる選手は、今でもそれなりに生まれてきている。現段階で、次世代のブラジルのスター候補はカイキだと言われている。

 非常にテクニカルで、ボールをうまくコントロールし、敵のド肝を抜くプレーを見せ、聡明で、中盤としてもアタッカーとしてもプレーできる。現在17歳で、フルミネンセに所属している。彼のプレーを見た時には、久々に感動を味わった。どうやらそれは私だけではなかったようだ。例えばジョゼップ・グアルディオラもそのひとりだ。

 彼はマンチェスター・シティに、カイキの獲得を要請し、つい先日、合意を発表。シティは1000万ユーロ(約13億円)で80%の権利を獲得した。またフルミネンセはもうひとりについても同様の交渉をしている。18歳になったばかりのコンゴ移民のボランチ、メティーニョをシティ・フットボールグループに売却したのだ。最初はフランスのトロワにレンタルされる予定である。カイキは「第2のジーコあるいはネイマール」、メティーニョは「次世代のドゥンガ、ファルカン」との呼び声も高い。

 もちろん彼らが、これまで期待されながらもブレイクできなかった選手たちと同じ道をたどらないという保証はどこにもない。その答えが出るには、まだ少し時間がかかるだろう。今のところブラジルサッカーはネイマールにすがり、新たなスターの登場を待ち続けるしかない。

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