2021.05.14

スペイン代表の新スターは何がすごいのか。異色の経歴で強度を体現→攻撃の中心に成長

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

<プレーの強度を出せる存在>

 ルイス・エンリケ監督が率いるスペイン代表は好調だ。22年ワールドカップ予選の3試合を2勝1分でグループトップ。20年10月のウクライナ戦に0-1で敗れた以後の6試合は無敗で、ドイツに対する6-0の大勝も含まれている。

 もっとも、スペインがメジャー大会前の予選で好調なのはいつものことで、かつては「無敵艦隊」と呼ばれながら本番ではさっぱりという時代もあった。現在のスペインもユーロやワールドカップを制したピーク時と比べると、スケールは小さくなった感は否めない。

◆おじさん軍団レアルはどこへ向かう。このままでは時代に取り残される>>

 バルセロナとレアル・マドリードで占められていた代表選手も、所属クラブがバラけている。モラタはユベントス、フェラン・トーレスやロドリはマンチェスター・シティ、ダニ・オルモはライプツィヒと国外でプレーしている選手も増えた。

 かつてスペインだけが持っていたパスワークは、ポジショナルプレー(位置取りで相手の優位に立つ)という概念とともに世界的に普及していった。オルモが所属するライプツィヒもその影響を強く受けている。バルサやレアルでプレーしていなくても、スペインふうの作法を現在の選手は身に着けているわけだ。

 程度の差はあれスペイン化された対戦国を相手に、本家のスペインが優位性を持つにはプラスアルファが必要だろう。つまるところサッカーの優位性は「精度」と「強度」であり、スペインの精度はすでに高水準にある。あとはいかに強度を示せるか。

 そうなると、強度を追求してきたライプツィヒでプレーしているオルモは、それを体現できる選手だと思う。

 ボールがない時のランニングは、スペインというよりドイツ的だ。ヒザ下のコンパクトな振りで体重を乗せたシュートや、球際の強さも典型的なスペイン人とは少し違う強みだろう。

 ダニ・オルモは、まだ小粒感の抜けない現在のスペインが、スケールアップするためのカギを握る選手の一人になる。

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