スペイン代表の新スターは何がすごいのか。異色の経歴で強度を体現→攻撃の中心に成長 (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 シャビ、イニエスタなどスペイン人MFに見られる資質だが、オルモはそれをきちんと受け継いでいるようだ。それもそのはずで、「ラ・マシア」の呼び名で有名なバルセロナのカンテラ(育成組織)で育っている。同じ街のエスパニョールからバルセロナのカンテラに移ったのが9歳。16歳まで伝統の寮(ラ・マシア)で生活した。

 ところが、そこからは独自の道を歩んでいる。ラ・マシアを出たオルモは、クロアチアへ向かっているのだ。

<クロアチアで開花、ライプツィヒで活躍>

 将来を嘱望されていたダニ・オルモはバルサBでプレーするはずだった。しかし、クロアチアのディナモ・ザグレブと契約し、ザグレブのBチームでのプレーを選択した。

 1年後にはトップチームに昇格し、2年後には4年契約を結んでいる。その時は左または右のウイングとしてポジションを確保していた。オルモは「選択は正しかったと思う」と振り返っている。

 バルセロナの育成組織は多くの俊英を生み出してきた。ただ、そこからトップチームのレギュラーに定着するのは途方もなく難しい。とくに攻撃的なポジションはリオネル・メッシを筆頭に名声を確立したスタープレーヤーで占められており、MFもシャビやイニエスタがいれば出番はなかった。

 カンテラが生み出した最大の才能と言われたチアゴ・アルカンタラ(リバプール)でさえも、ポジションをつかみきれなかったのだ。結局、バルサはカンテラで育てた才能の大半を手放している。

 クロアチアリーグのMVPにもなったオルモには、クロアチア代表入りの可能性もあった。本人もそれを考えたこともあったようだが、U-17からプレーしていたスペイン代表でのプレーをつづけ、U-21ヨーロッパ選手権で優勝。ドイツとの決勝ではゴールを決めて、マン・オブ・ザ・マッチに選出された。この19年にはスペイン代表にも招集される。

 20年1月、ブンデスリーガのライプツィヒに移籍。ユリアン・ナーゲルスマン監督の下、順調に成長を遂げエース格として活躍している。そして今やスペイン代表でもレギュラーポジションをつかみ、攻撃の中心となった。

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