おじさん軍団レアルはどこへ向かう。このままでは時代に取り残される

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFP/AFLO

去就に注目が集まるレアル・マドリードのセルヒオ・ラモスとジネディーヌ・ジダン監督去就に注目が集まるレアル・マドリードのセルヒオ・ラモスとジネディーヌ・ジダン監督この記事に関連する写真を見る セビージャとの上位攻防戦で、ジネディーヌ・ジダン監督が率いるレアル・マドリードは2-2と引き分けている。勝てば首位に立つはずだったが、常に追いかける展開でドローが精いっぱいだった。首位アトレティコ・マドリードとは勝ち点差2の2位で。残り3試合、リーグ連覇はまだ射程圏内にはある。

 だが、チームの周辺は騒がしい。「大改編が必要」という声は高まっている。

 何しろレアル・マドリードは主力の大半が7、8年以上在籍している。16年目のセルヒオ・ラモスを筆頭に、新陳代謝が一向に進まない。有力チームの新進気鋭の顔ぶれと比べると、危惧すべき状況だ。

 王者の足元がぐらついている。

 あらためて、ジダン監督は「やりくり上手」ではあるだろう。選手の能力を辛抱強く見極められる。そうやって信頼された"強烈な個"が正念場で力を見せ、栄光を勝ち取ってきた。

 一方で、戦術的な熟成はない。個人任せで、試合の中で相手の戦いを個人が見切ることによって、活路を見出す。それがチャンピオンズリーグ(CL)3連覇につながったし、今もしぶとい強さを見せている理由だろう。ただし、ボールを持たされると苦しむことになる。CL準決勝チェルシー戦のセカンドレグは、ポゼッションで上回ったことで、むしろ立ち往生。カウンター攻撃を受けて大差がつかなかったのは、GKティボー・クルトワがいたおかげだ。

「マドリードが壊れた」

 スペイン大手スポーツ紙『マルカ』の見出しは過激だった。

 個人が戦術を引き回し、ジダン・マドリードは進撃してきたが、それは過去の幻影となりつつある。

 ルカ・モドリッチは36歳、ラモスは35歳、カリム・ベンゼマ、マルセロは33歳、トニ・クロース、ナチョ・フェルナンデス、ルーカス・バスケスは31歳、カゼミーロ、ダニエル・カルバハルは29歳。彼らは欧州3連覇の主力メンバーで、なんと顔ぶれは過去5シーズンでほぼ変わっていない。

 もちろん、ベテランが悪いというわけではないだろう。

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