アグエロの得点シーンに学ぶ。「動かないこと」も駆け引きのうち (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

◆酔っ払いながらゴール。ペレよりも多く5000得点した破格のストライカー>>

Answer
動かずに待ち、クロスを受けてゴール

 メンディにボールが入った瞬間、スターリングの攻撃の深さを取る動きと、ジェズスがゴールに向かって開いていく動きにはリアリティがあった。それゆえにクリスタル・パレス守備陣に対しての、ブラフとなった。

アグエロは動かなかったことでパスコースが生まれ、クロスを受けてシュートを決めたアグエロは動かなかったことでパスコースが生まれ、クロスを受けてシュートを決めたこの記事に関連する写真を見る この状況でのアグエロとメンディの選択が見事だった。スターリングとジェズスが動き出したのに対し、アグエロは事前に相手の間の中間ポジションに動き、そこから大きくは動かなかった。

 そうして、スターリングとジェズスにクリスタル・パレス守備陣が釣られたために、動かないアグエロの周辺にスペースが広がったのがポイントになった。

 まずはスターリングの走り出しでアグエロへのパスコースが空き、すかさずメンディは鋭い高速クロスを入れる。クリスタル・パレス守備陣はこのクロスに裏をかかれた格好となった。

 そして、ジェズスがファーへ開いたことで、アグエロの前にシュートを打てるだけのスペースが空いた。そこから動き出したアグエロはメンディのクロスを前にコントロールし、右足を振り抜いてゴール。

 シティのユニットとしてのコンビネーションと、アグエロのポジショニングとフィニッシュワークという、個が光った見事な先制点となった。

 クラブの悲願である欧州制覇を達成し、レジェンド・ストライカーへ最後の花道を飾ることができるか。シーズン最終局面のマンチェスター・シティに注目だ。

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