レアルのCL完敗は必然だ。時代の変遷を感じさせる決勝プレミア対決 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 攻撃的サッカーという、アヤックスやヨハン・クライフの影響を強く受けた哲学を背景に台頭してきた1990年代後半のスペインのサッカーは、強豪でありながら好チーム的な要素を含んでいた。CLの決勝トーナメントを湧かせたデポルティーボ・ラ・コルーニャやバレンシアに、それは特に色濃く反映されていた。特段スーパースターがいなくても、いいサッカーを展開するまさに好チームとして、記憶に刻まれた。

 スーパースターが去った現在のレアル・マドリードに、その好チームとしての色を感じるかと言えば、ノーだ。守備的サッカーに舵を切り、そこに勝機を求めようとするサッカーに好印象は抱けない。思わず「昔のユベントスか」と言いたくなる。退化したサッカーを見せられた気になる。そんな時代背景を踏まえると、レアル・マドリードの敗戦には大いなる必然性を感じる。

 マンチェスター・シティ対チェルシー。史上3度目のプレミア対決となった決勝戦は5月29日、イスタンブールのアタテュルク五輪スタジアムで行なわれる。金満オーナーが所有する成金系クラブ同士の決勝はこれが初。それこそ20年前、この両チームが後にCL決勝で対戦すると予想したサッカーファンは、どれほどいただろうか。伝統的なクラブはこの事態をどんな思いで見ているだろうか。時代の移り変わりを感じさせる決勝対決だ。

 マンチェスター・シティは初の決勝進出で、チェルシーは3度目になる。クラブとして場慣れしているのはチェルシーだが、マンチェスター・シティは、監督のジョゼップ・グアルディオラが、過去2度、CL優勝を飾っている。チェルシーのトゥヘル監督も、決勝を経験するのは昨季のPSGに続き2年連続なので、経験値的にはいい勝負だ。

 今季のプレミアでは、チェルシーホームで行なわれた一戦ではマンチェスター・シティが1-3で勝利。またFAカップではチェルシーが1-0で勝利を飾っている。残るリーグ戦のマンチェスター・シティ対チェルシーが行われるのは5月9日。まさに前哨戦である。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る