乾貴士、武藤嘉紀の現状と来季は? 降格危機の最下位エイバル (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 例えばレアル・マドリード戦でも、左サイドでカゼミーロを翻弄して際どいシュートを狙い、ゴール前でのクリアが甘いとジャンプしながら迷わず蹴り込むシーンもあった。どちらも名手ティボー・クルトワに止められたが、可能性を示した。

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 しかし、とにかく得点が決まらなかった。長いシーズンで、ゴールはレバンテ戦で決めたわずか1。これでは助っ人アタッカーとして及第点は与えられない。

 相手ゴールに近いところでの貢献度が低いと、歯車が狂っていった。5-0で大敗したアトレティコ・マドリード戦では、途中出場したものの、パスミス、ボールロストのオンパレード。スペイン大手スポーツ紙『アス』は「プレーしなかったも同然。気力が感じられなかった」とまで厳しく評価された。

 このままチームが2部に落ちた場合、今年で33歳になる乾の評価は下落を避けられない。

 一方の武藤は、好意的に評価するなら「準レギュラー」か。23試合に出場し、先発が12試合。スペイン挑戦1年目としては悪くはない。

 入団当初から、前線でのインテンシティは高く買われていた。プレミアリーグで戦っていただけに、高さや強さを苦としなかった。勤勉さやスピード、さらに無骨なFWが多い中でテクニックも十分にあり、積極的に起用されていた。ベティス戦でリーガ初得点。CKから味方がヘディングでそらしたボールに左足を突き出して決めた時には、「ストライカーとしてブレイクか」と期待感も高まった。

 しかし現時点で、得点はそれのみに終わっている(それ以外にスペイン国王杯では2得点)。

 いくら献身性を見せても、ゴールに直結する動きができない限り、FWは信頼を得られない。アトレティコ戦ではPKを誘うプレーがあり、セルタ戦ではポスト役からブライアン・ジルに絶妙な浮き球のパスを送り、得点をアシストした。どうにか先発の座を得ていたが、フィットしたとは言い難い。

 今年3月、足首の痛みでビジャレアル戦のメンバーから外れて以後は、6試合連続メンバー外となっていた。

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