鈴木優磨、ゴール量産の理由を考察する。現地メディアの評価は急上昇 (3ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 シント・トロイデンが2−1でスタンダールを下した試合を報じた地元紙は、このように鈴木を絶賛した。批判記事から、わずか2週間後のことだった。

 鈴木は12月30日のベールスホット戦でも先制点を奪い、3試合連続ゴールを記録。シント・トロイデンも3連勝を成し遂げ、14位に浮上して降格圏からの脱出に成功する。

 年が明けると、ベテランストライカーのイロンベ・ムボヨがチームに加わった。

「ムボヨのことは、最初のトレーニングを見てすぐに『なにかすごいぞ』と感じました。彼は経験豊富でスキルがある。ボールキープ、ライン間でポジションを取ること、シュートを決めること、味方に点を取らせることができます。僕がああなりたいと思う、完成されたストライカー」(鈴木)

 1月18日のルーヴェン戦で初めて2トップを組んだ鈴木とムボヨは、すぐさま噛み合った。開始10分で左からのムボヨのクロスに鈴木が頭で合わせて先制ゴールを決めると、53分にもムボヨ→鈴木のホットラインが炸裂。さらに、翌節のコルトレイク戦でも鈴木は2ゴールを決めた。

「鈴木とプレーするのは楽しい。彼はよく走るし、ハードワークするし、決定力がある」(ムボヨ)

「今の優磨は簡単にゴールを決める。ムボヨが敵を引きつけ、優磨がいいポジションをとる。私がシント・トロイデンに来たころ、優磨は少しプレーする喜びを失っていた。だが今、優磨はやる気に満ちている」(マース監督)

 4月3日のメヘレン戦、鈴木は11分に橋岡大樹の折り返しをダイレクトシュートで決めた。しかし、名シーンはその後に訪れる。42分、鈴木が倒されてPKを得た。すると、ボールを持った鈴木はニコリと笑って、ムボヨにPKを譲ったのだ。この時点で、ムボヨは9試合もゴールから遠ざかっていた。

 ベルギーの全国放送『エエン』のサッカートーク番組「エキストラ・タイム」では、シント・トロイデンでゴールを量産する鈴木について討論する時間が設けられた。そのなかで、かつてアントワープやシント・トロイデンで活躍したストライカーのパトリック・ホーツ氏はこう語った。

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