鈴木優磨、ゴール量産の理由を考察する。現地メディアの評価は急上昇 (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

『まずは組織をコンパクトに保って、相手に得点を許さず、好機になったら一気呵成に敵のゴールを襲う』というチーム作りを示唆した。

 好き嫌いは分かれるが、マース監督は選手を怒鳴りつけながら刺激を与え、コーチングするタイプの指揮官だ。就任当初、シント・トロイデンでは「優磨!」「優磨!」という叫び声が響き渡っていた。

 鈴木は中盤に下がったり右に開いたりしてボールに触り、そこからエネルギッシュに相手の隙を突いてペナルティエリアの中に飛び込んでいく。しかし、マース監督は「優磨はちょっと中盤に引きすぎ。もっとペナルティエリアの中でポジションをとって、勝負しないといけない」と指摘していた。

 指揮官からの指示でポジション取りが矯正されるにつれて、鈴木はブレイクへの道を進んでいった。

 マース監督就任2戦目となった12月19日のズルテ・ワレヘム戦。鈴木は57分に先制点を叩き込むと、これがシーズンの転換ポイントとなり、ゴールラッシュが始まった。

 翌週に行なわれた12月26日のスタンダール・リエージュ戦。今季初めてヘッドで決めたゴールは、コーナーキックが蹴られた瞬間、ボックスの中央から大外を回ってファーサイドに潜り込み、フリーになって決めた"賢いゴール"だった。

 身長182cmの鈴木は、欧州のストライカーとしては大柄ではない。だが、相手ディフェンダーとの駆け引きに長けており、今季はヘッドで4得点を決めている。

 とくにスタンダール戦ですばらしかったのは、先制ゴールに貢献したアシストだった。相手に対してプレスをかけてボールを奪い取り、右のハーフスペースを怒涛のドリブルで前進。最後は2トップを組んでいたデュカン・ナゾンにゴールを任せた。

 このワンシーンに、攻守に献身的な姿勢でチームに貢献した鈴木のよさがふんだんに詰まっていた。

「鈴木の今季ベストゲーム。マース監督は瞬く間に鈴木を別人のようなプレーヤーに育てた」

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