スーパーリーグ構想はなぜ潰えたのか?背景にUEFAとクラブの抗争と財政難 (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 以降、G18はチャンピオンズリーグを主催するUEFA(ヨーロッパサッカー連盟)に対して、自分たちがより多くの収入を得られるように交渉するための"武器"として、それをちらつかせてきた。「UEFAだけが儲けて、稼ぎ頭である我々ビッグクラブに利益を回してくれないなら、独自の大会をつくりますよ」という無言の圧力である。

 その効果は絶大で、それ以来、ビッグクラブはヨーロッパカップのフォーマット変更の度にUEFAと交渉を重ね、お互いの妥協点を見出しながら経済的メリットを勝ち取ってきた。もちろん、自分たちが主催するヨーロッパカップの価値が高まり、より多くの収入を得るようになったUEFAにとっても、それは悪い交渉ではなかった。

 要するに、ビッグクラブとUEFAは一蓮托生。その後、G18は2008年に現在のECA(ヨーロッパサッカー協会)に姿を変え、「ヨーロッパフットボールリーグ」もESLに変わったが、基本となる組織体制は同じだ。現場やファンの声に耳を傾けることなく、ビッグクラブとUEFAはお互いの収入を伸ばすための商業主義路線を走りつづけた。今回も、その流れで話はまとまっていた、はずだった。

 UEFAは、現在ヨーロッパの222クラブで構成され、ユベントスのアンドレア・アニェッリ会長をトップとするECAと事前交渉を行ない、2024-25シーズン以降のチャンピオンズリーグを含むヨーロッパカップの新フォーマット(※)で合意。4月19日のUEFA実行委員会の承認を経て、正式発表する準備を整えていた。さらに、その日には2021-22シーズンから2023-24シーズンまでの、大会別の分配金割合も最終決定されることになっていた。

※新フォーマット
◆CLの場合
・出場チーム:32チーム→36チーム
・グループステージ:4チーム×8グループ→出場全チームの1リーグ制に(リーグステージ)。各チームはホーム5試合、アウェー5試合の10試合を戦う(同じチームと2度対戦しない)。対戦相手などはUEFAランキング係数に基づいて決められる。
・決勝トーナメント:リーグステージの上位8チーム+プレーオフで勝ち抜いた8チームが進出。

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