久保建英に課されている難題。バルサでないチームでメッシの働きを

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFP/AFLO

 久保建英を擁するヘタフェは、敵地でバルセロナと戦い、5-2の大敗を喫している。

 久保は前節レアル・マドリード戦では出場がなかったが、バルサ戦は先発フル出場。国内のニュースメディアでは、「"古巣"を相手に"2アシスト"」などと、大活躍したように報じられている。バルサを相手に堂々とプレーできたのは、ひとつの成果ではあるが......。

 スペイン大手スポーツ紙『アス』と『マルカ』は、この試合の久保に対し、星は一つしかつけていない。0~3の星4段階のうち下から2番目。つまり、悪くはなかったが、良くもなかったといったところか。

「始まりは良かったが、(その明るさは次第に)消えていった。ディテールではすばらしいものを残したし、"もっとできる"というセンセーションも与えた。しかし、スペースを見つけられなかった。弱い」

 これが『アス』の寸評である。そこにある温度差を解析することで、「久保の現在」が見えるかもしれない。

少年時代を過ごしたバルセロナ戦にフル出場した久保建英(ヘタフェ)少年時代を過ごしたバルセロナ戦にフル出場した久保建英(ヘタフェ) 久保がボールを持った時の技量の高さは、もはや周知のとおりである。徹底的に相手の裏を取って、コンビネーションも使いながら、守備を崩すことができる。しかも、ドリブルがドリブルにとどまらず、ゴールに直結している。

 勝負度胸や運の強さもある。それが色濃く表出したのが、1-1とした同点弾の場面だろう。

 ゴールが決まる直前、右からのクロスに対し、久保は貪欲にオスカル・ミンゲサの前を取って飛び込み、際どいシュートを打っている。ボールを受け、崩しにかかるだけでなく、スペースに入って狙う抜け目のなさを示した。その時にミンゲサの足も削って、彼が悶絶してピッチ外にいた間、数的優位でサイドを崩す起点のひとつになった(ただしバルサDFに当たってのゴールで、直接のアシストではない)。

 後半に3-1とリードされたが、24分の追撃弾でも存在感を見せている。

 左サイドで放り込まれたロングボールのこぼれ球に対して、久保はポルトガル代表MFフランシスコ・トリンコンとの競り合いに勝つ。力強くボールを運び出し、立ちはだかったミンゲサに飛び込ませず、ニアに入ったエネス・ユナルにピンポイントのクロス。これに対応したバルサDFがユナルの足を踏みつけ、VAR判定でPKになった。このPKをユナルが決め、3-2と反撃の狼煙を上げた(結局その後、力の差を見せつけられたが)。

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