悪童ロマーリオは政治家になっても忖度なし。W杯もFIFAも斬りまくる (3ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

◆ジーコの抜けた穴を埋めたベベット。W杯で見せた「悪童」との友情>>

 女性遍歴でも有名で、W杯の決勝の数時間前に女性とベッドインした、マラカナスタジアムのロッカールームで恋人と愛し合ったとも告白している。余談だが、2018年のロシアW杯の時に、記者からブラジル代表FWガブリエル・ジェズス(現マンチェスター・シティ)へのアドバイスを求められると、涼しい顔で「女性といっぱい寝ることだ」と答えた。

 そんなメチャクチャな人生を歩んできたロマーリオが政治の道を志したのには、その裏に特別な思いがあったからだ。彼は4人の女性との間に6人の子供がいるが、末っ子のアイビーちゃんはダウン症だった。彼女を愛しみ、同じような悩みを抱えた人々と関わるうちに社会的な弱者を守りたいと思うようになったと、ロマーリオは自身のHPで語っている。また、ファベーラ(ブラジルのスラム)の出身で、社会の底辺を見てきたことも無関係ではないだろう。

 知名度抜群のロマーリオは、2010年の下院議員選挙に、ブラジル社会党からリオデジャネイロ州選挙区で出馬すると、最高得票である14万票を獲得して見事当選する。

 就任から半年後には、ハンディキャップを持った人が仕事を失った場合、政府から補助金がもらえる法案の成立に尽力した。2012年には難病患者への理解を示し、政府の援助を拡大するためのセミナーも開いている。2013年には観光スポーツ部門の委員長となった。

 2014年には、470万近い票を得て、今度は上院議員選挙に当選。障がい者へのより手厚い保護を求める法案を通した。ちなみに2017年には、やはり政治家になったかつての相棒ベベットもロマーリオと同じ政党に入党し、代表以来のコンビが復活した。

 ただし議員になっても、その性格は変わらない。忖度しない言動は今でも健在だ。政界入りした当時も「政治の世界は盗人とビッチのたまり場だ」などと言って、腐敗した政界を斬って捨てた。

 2014年のブラジルW杯では、多くの汚職やマネーロンダリングが行なわれたと告発、また2018年のW杯については、「本来ならイギリスで行なわれるはずが、ロシアに売り渡された」と、FIFAの幹部たちを糾弾した。

『プラカー』紙のインタビューで、ロマーリオは「将来はリオデジャネイロ州の知事になりたい」と語っている。

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