怒れるロナウドの決勝ゴール。冷静な駆け引きは極上の「お手本」 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

◆ロナウドはポジション転職最大の成功例。ウインガーからストライカーへ>>

Answer
DFの視界から消えるようにファーサイドへ走り込んだ

 駆け引きとしては非常にシンプルで、このシチュエーションにおいてはお手本と言える動きである。

ロナウドはマークしてくる相手の背後を取り、ファーサイドへ動いてゴールを決めたロナウドはマークしてくる相手の背後を取り、ファーサイドへ動いてゴールを決めた ロナウドが左サイドから中央へドリブルで進入し、それに合わせてルクセンブルクの守備陣形も左から右へとスライドしていった。そしてそのタイミングで右サイドバックのカンセロがオーバーラップでもらいに上がってくると、ロナウドはシンプルにカンセロへパスを出す。

 このとき、ルクセンブルクの守備陣は全員がボールウォッチャーとなった。パスを出したあとのロナウドは、カンセロを見ながらゴール前へ動く。そしてカンセロと目が合った瞬間に、ファーサイドへ向かって動き直した。

 目の前にいたマクシム・シャノが対応しようとするが、振り切られてロナウドに背中を取られた。それによってボールから視線を切れないシャノは、ロナウドを見失うことになった。これがロナウドの駆け引きだ。

 走り出す瞬間に裏へのボールを要求したロナウドに対して、カンセロは柔らかい完璧なクロスボールを送った。それをロナウドは右足のインサイドで確実に当ててゴールへ流し込み、2-1と勝ち越し。ポルトガルは後半35分にも追加点を奪って、3-1で勝利した。

 セルビア戦から切り替え、エースストライカーたる所以を見せつけた、ロナウドの見事なゴールだった。

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