2021.03.29

バルサの新戦術は「デジタル化」。成否を握る20歳のキーマンが現れた

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

◆ファンが夢見るバルサスタイルの復活へ。カギを握る18歳ペドリの活躍>>

 フレンキー・デ・ヨングのセンターバック、ウスマン・デンベレのセンターフォワード、ペドリのハーフバック(ボランチ)は本来のポジションとは違っている。ただ、それゆえに置かれたポジションとは少し違った属性を持つことになり、それが担当レーンの互換性につながっている。デヨングはセンターバックとハーフバック、デンベレはウイングでもプレーし、ペドリはインサイドフォワードとしても振る舞う。

 チームとして5レーンをバランスよく埋めること。しかし、誰がどこにいてもいい。これがシティやバルサが「デジタル」であるポイントなのだが、本当のオールラウンドプレーヤーはほとんどいない。

 ただ、2つ3つの属性を持つ選手は存在するので、すべてではないがレーンの入れ替えは可能であり、それがチームとしての柔軟性を生み出している。カオスに見えるがカオスではない、コントロールされたサッカーだ。

 ただし、バルセロナはシティに比べるとアナログ感が残っている。

 敵陣内の攻守ではほぼ同じだが、撤退の仕方が違うのだ。シティでは多彩な属性を持つジョアン・カンセロが最終的にサイドバックに引くことで3バックが4バックになる。一方、バルサはデストとジョルディ・アルバが真っ直ぐ下がってサイドバックとなることで5バック化する。

 ハーフバックから下がるカンセロより移動距離は長く、しかもプラス1ではなくプラス2でディフェンスラインが完成する点で労力と時間のロスが大きい。

 さらに、メッシとアントワーヌ・グリーズマンのインナーコンビが守備で貢献できるかという疑問もある。バルサにはシティのような撤退戦術が「ない」と言ったほうがいいのかもしれない。敵陣で攻守を完結することが前提になっている。

 ただ、やはり引いて守る場面も必ずあるわけで、そこはデストとジョルディ・アルバの運動量とスピードという力業に依存している。そのため戦術上のキーマンはこの2人と言っていい。いまのところデストはその重責に応えていて、それゆえに不可欠の存在になっているわけだ。

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