ベンゲルにインタビュー。日本サッカーに辛口助言「強みと弱み」とは? (3ページ目)

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 監督の立場でさまざまな国籍の選手たちと密にコミュニケーションをとってきたからこそ、日本人の課題がはっきりと見えているのだろう。こうした指摘はまさにベンゲルならでは。さまざまな課題を見つけて解決し、数々の実績を残してきたベンゲルだが、そんな彼の人生訓が周囲への問いかけからも垣間見える。

「かつての教え子、もう60歳ぐらいでしょうか。いまでも会うことがあるんですが、いつも2つのことを聞くようにしています。一つ目は『自分ができることをやりきったか』と。9割が『全力を尽くすべきだった。でもできなかった』と答えます。2つ目の質問は、『私は何か見落としてはいなかったか。あなたたちの能力を最大限引き出すことができたか』と尋ねます。私自身も、もっとできることがあったと反省しているのです」

 監督時代、暴言を吐くことなく、勝負に対してフェアであり、真摯にサッカーと向き合っていたベンゲル。世界的名声を手にし、歴史に残る名将となった今でも彼は自分と向き合い、常に成長しようとする姿勢を失っていない。

【Profile】
アーセン・ベンゲル
1949年10月22日生まれ、フランス出身。84年にナンシー(フランス)で指導者のキャリアをスタートさせると、モナコ(フランス)時代には国内リーグのタイトルを獲得。95年から率いた名古屋グランパスエイトでは、天皇杯のタイトルを手にした。96年からはプレミアリーグのアーセナルを指揮。在籍22年間で、リーグ優勝を3度達成するなど輝かしい実績を残し、2017-18シーズンをもって引退した。

『アーセン・ヴェンゲル自伝 赤と白、わが人生』
(ヨシモトブックス)
アーセン・ヴェンゲル (著), 三好 幸詞 (翻訳)

・名古屋グランパス小倉の負傷
・ブラジルで出会ったカルロス・アルベルト
・ソル・キャンベル移籍の極秘交渉
・マンチェスター・ユナイテッドのファーガソン監督への思い
・49戦無敗の無敵艦隊
・ウェンブリースタジアムへの深い思い入れ
・エミレーツスタジアム建設費返済のためのノルマ
・移籍を希望するアンリからの言葉
・ナスリ、ファブレガス、ファン・ペルシの移籍への思い
・痛恨のCL決勝
・代理人の理想像
・日本代表をはじめとする様々なオファー

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