ストイコビッチがセルビア代表監督就任。Jリーグで優勝も「名将」と言えるのか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 名将の兆しが見えた。就任3年目、Jリーグで優勝したのはひとつの結実だった。

 優勝したチームは高さとパワーを感じさせたが、1年目の斬新さは消えていた。チーム戦術よりも、個の力が目立った。絶対的な人気で有力選手を集めたが、チームは緩やかに下降線を辿った。2011年は2位、2012年は7位、2013年は11位と低迷し、ひとつの時代が終焉した。

 その後、ストイコビッチは中国の広州富力を2015年途中から5シーズンにわたって率いたが、タイトルどころか、ACLにも届いていない。イスラエル代表FWエラン・ザハヴィ(PSV)に2017年、年間最優秀選手賞、得点王を受賞させ、2019年にも二度目の得点王に輝かせたのはひとつの功績か。ただし、画期的サッカースタイルの確立には至っていない。

 セルビア代表監督として、ストイコビッチは集大成を見せられるのか。

「サッカーは予測できない。考えたことと逆のことが起きることもしばしば。それもサッカーだ」

 ストイコビッチはしばしばそう言う。

 少なくとも、彼はベンチにいるだけで雰囲気がある。Jリーグ監督時代、タッチラインを割ったボールを革靴で70メートル先の敵ゴールに蹴り込んでいる。あんな芸当ができるのは、世界でストイコビッチだけだろう。

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