『鬼滅の刃』とサッカーの共通性は育成にも。カンテラの意味は石切り場 (3ページ目)

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倉敷 鱗滝さんの指導の下、狭霧山で1年がかりの厳しいトレーニングを積んだ炭治郎は、その後、最後の課題となった大きな岩を刀で切るまでにさらに1年を費やし、いよいよ隊士になるための最終選別が行なわれる藤襲山に向かいます。そこには、鬼殺隊の剣士たちが生け捕りにした鬼が閉じ込められていて、そのなかで7日間生き延びるのが最終選別の合格条件になっているわけですが、この最終選別もまたサッカー界に共通する話だと感じます。

 ここは中山さんに伺いますが、子どもたちがプロクラブの下部組織に入団できるかどうか、ふるい落としのテストはフランスサッカーの場合はどうなっていますか?

中山 はい。たとえば日本のサッカーファンにもよく知られている、フランスサッカー連盟直轄の育成所「クレールフォンテーヌ」に入学するためには、何段階ものテストに合格する必要があります。現在フランスにはクレールフォンテーヌと同等の育成所が全国各地に14カ所あるのですが、それぞれの地域の入学希望者はまず各県ごとの絞り込みのテストを受けて、合格者だけが各育成所のテストに進むことができます。

 とくにクレールフォンテーヌの場合、首都パリのあるイル・ド・フランス地方の育成所であり、同時に全国の育成所の総本山にあたるので、『鬼滅の刃』で言うところの藤襲山といったところでしょうか。毎回数千もの希望者のなかから実際に入学できるのは数十人ですから、確率的にも藤襲山の最終選別に近いものがありますね。ちなみに、クレールフォンテーヌをはじめとするこれら育成所の対象年齢は、12歳からの2学年制です。15歳には卒業して、それぞれの進路を決めることになりますが、卒業者のなかでリーグ・アンのクラブの下部組織に入れる選手はさらに絞られ、年数人レベルになってしまいます。狭き門ですよね。

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