『鬼滅の刃』のお館様のような、特別な言葉を持つサッカー監督は誰か (3ページ目)

◆『鬼滅の刃』の産屋敷耀哉は、サッカークラブの理想のオーナー像である>>

小澤 バレンシアに住んでいた時には、番記者と同じくらいの頻度でラニエリ監督、キケ・フローレス監督、ウナイ・エメリ監督の会見を取材しました。とくに、キケ・フローレスとウナイ・エメリのスペイン人監督は、当時まだ若手指揮官で頭角を現し始めた時期だったので、結果が出ない時には地元メディアに痛烈に叩かれていました。ただ、会見で厳しい質問をぶつけられても決して怯むことなく、真正面から批判を受け止めた上で、冷静に返す胆力には何度も驚かされました。

 あと、スペインでは会見も完全にエンタメ、ショーと化していて、モウリーニョ監督とグアルディオラ監督が二強を率いていた時代からは、監督の会見のライブ配信が当たり前になりました。今や会見場には記者に向けたAIカメラが設置されていて、マイクを握って質問する記者に対して自動的にカメラが向いて、どの記者がどういう質問をするのかを世界中にライブ配信しています。だから、監督のみならず記者も鍛えられる環境ですし、そこで響く言葉を放つことができるかどうか、一挙手一投足が注目されています。

倉敷 訴える言葉、心に響く言葉を持っていないと、人はついてこない。認めてもらえない。言葉の伝承は文化の伝承です。ラ・リーガでプレーする選手たちは、敗戦直後のフラッシュインタビューであっても、しっかり自分の意見をそれなりのボリュームで話してくれます。スペインでサッカー選手を目指す子どもたちはそれを見て育つわけですから、しっかりと自分の言葉で話さなければならないと学習できているわけです。同じく『鬼滅の刃』は名言の宝庫ですが、とくに子どもたちにどう背中を見せるかという大人たちの振る舞いや言動にも、心を打たれるシーンが多いですね。

 今回は産屋敷一族、そして鬼殺隊を率いる産屋敷耀哉というリーダーから、サッカーを語ってみました。また次回は異なる視点で『鬼滅の刃』とサッカーについて話を広げていきたいと思います。

(第5回につづく)

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