遅咲きの10番に「こんな選手いたのか」。セリエAでの絶妙パスがすごい (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 インサイドハーフは左がルイス・アルベルト、右がセルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチ(セルビア)だ。ルイス・アルベルトは左のハーフスペースを中心に幅広く動き、味方からボールを預かっては捌き、2トップのインモービレ、ホアキン・コレア(アルゼンチン)に絶妙のパスをつなぐ。

 ドリブルも巧みで、クロスボールの質もすばらしい。セットプレーの精度の高さも文句なしだ。

 何と言っても、局面を的確に読める。相手の動き、味方の動きを一瞬でインプットし、正解をはじき出す能力が高い。プレーメーカーとしての演算能力の高さは、ヨーロッパでもトップクラスだと思う。

 言わば古典的な10番タイプなのだが、現代のゲームに求められている守備力や運動量も兼ね備えている。ラツィオのインサイドハーフは守備のスイッチとしての役割も担っている。

 相手のビルドアップに対して、ルイス・アルベルトは味方FWの左斜め後方にポジションをとる。相手が右サイド(ラツィオの左サイド)へボールを回すと、そこへルイス・アルベルトがプレッシャーをかけ、それがラツィオのプレッシングの合図になっている。

 自分の横までならルイス・アルベルトが対応して、MFが横へスライド。ルイス・アルベルトより後方へボールが出たら、ウイングバックが対応してDFがスライドする。ルイス・アルベルトの動き次第で、全体のプレスの仕方が変わるわけだ。

 これは右側のミリンコビッチ=サビッチも同じ役割を負っていて、ラツィオのインサイドハーフはテクニックとハードワークを求められている。ルイス・アルベルトは満点のプレーで応えていて、それゆえに外せないキープレーヤーになっているわけだ。

<錚々たる顔ぶれの92年組>

 ルイス・アルベルトのラストパスは、FWが「ここにほしい」と思っているところにピタリと出てくる。アウトサイドで少しカーブをかけ、あるいはインサイドで大きく曲げ、強弱長短を問わない精度。見えているターゲットが、センチメートル単位なのかもしれない。ごちそうをワゴンに乗せて運ぶようなパスだ。

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