因縁のバルサ対パリ。メッシ強奪もあり得るPSG会長の執念は実るか (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 そういう意味でも、その経緯を知ったPSGサポーターから総スカンとなったネイマールにとっては、昨シーズンのCLは彼らからの信頼を回復するための重要な舞台だった。

 実際、加入してから初めてCL決勝トーナメントでプレーしたネイマールの活躍がなければ、PSGが初のファイナルに駒を進めることはなかっただろう。そしてPSGサポーターも、念願の決勝進出に導いてくれたネイマールを受け入れるようになっていった。

 そして、ネイマール問題が落ち着いた矢先の昨夏、今度はバルセロナでメッシの退団騒動が発生する。結局、サッカー界を揺るがしたこの騒動は残留というかたちで収束を見たが、その後、混乱の元凶とされたジョゼップ・マリア・バルトメウ前会長の退陣が決定。3月に延期された会長選挙までは暫定政権による異例のクラブ運営となっている。

 そんななか、昨年12月3日のCLグループステージでPSGがマンチェスター・ユナイテッドに勝利した直後、再び両クラブ間に爆弾を投下したのがネイマールだった。

「僕が求めるのは、もう一度、彼(メッシ)とともにプレーすることだ。彼がピッチで再び楽しめるようにね。来年、僕たちはそうしなくてはいけない」

 退団騒動以降、その表情からプレーする喜びが失われかけていたメッシに向けたネイマールのひと言が導火線となり、またしても両クラブ間の軋轢が再燃する。しかもそれを承知していたのか、UEFAが12月14日に行なったCLラウンド16の組み合わせ抽選で、両クラブの直接対決が決定。それが、火に油を注ぐことになった。

『フランス・フットボール』誌では、冒頭のメッシ特集号よりも3週間前に、PSGのレオナルドSD(スポーツディレクター)のロングインタビューを掲載した。そのなかでレオナルドSDは、メッシ獲得の可能性について次のように語っている。

「メッシのような偉大な選手は、常に我々のリストにある。しかしこれについては、話をしたり、夢を見たりするべき時ではない。

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