2021.02.16

伝説のヘディンガーは意外と小柄。跳躍力のアジャラ、日本代表の天敵FW…

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 その時、リードされていたオーストラリアが、ラフなクロスボールを放り込んでくることはわかりきっていた。それでも日本はケーヒルに決められてしまった。

 ケーヒルは、ラストパスとなったクロスボールを被ることになった森重真人より、身長で5センチ低い。にもかかわらず、やすやすとヘディングを決めた。決まって当然と言いたくなる、高々としたジャンプを披露。垂直にふわりと真上に軽々と浮く、アジャラとの類似性を感じさせるジャンピングヘッドだった。

 ケーヒルより、ワンランク上のレベルで活躍した選手では、イバン・サモラーノの名前を挙げたくなる。90年代から2000年代にインテル、レアル・マドリード等で活躍したチリ代表のストライカーだ。

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 ヘディングシュートのシルエットは、この選手が一番美しく格好いいと思っている。

 178センチながら、長髪をなびかせる荒々しい風貌。ジャンプは高々としていて滞空時間が長い。高い位置に居止まり、まさに上空を滑空する姿はモモンガやムササビを想起させる。なにより躍動感、野性味に溢れている。ウルトラマンに出てきそうな鳥獣的でもある。

 人類最強の鳥類系ストライカー。あるいは爆撃機と言いたくなる。爆撃機は元西ドイツ代表のCF、ゲルト・ミュラーにつけられた異名であるが、両者の空中動作を比較すれば、サモラーノの方が爆撃機に似ている。

 上空から破壊力満点の攻撃を仕掛けてくるストライカー。それがLサイズの選手ではないところが、この話の味噌であり、サッカーの魅力だ。

 CL決勝でヘディングがクローズアップされたのは、リスボンのルスで行なわれた2013-14シーズンのマドリードダービー、レアル対アトレティコ戦。

 先制したのはアトレティコで、スコアラーはディエゴ・ゴディン(アトレティコのCB)だった。ゴディンは身長187センチのXLサイズプレーヤーだが、そのヘディングには、身長を遙かに超える強さがある。つい最近まで欧州で最もヘディングが強かった選手と言えるだろう。