2021.02.16

伝説のヘディンガーは意外と小柄。跳躍力のアジャラ、日本代表の天敵FW…

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 しかし、いくら凄いプレーでも、幾度となく目にすると新鮮味は薄れる。リオネル・メッシのドリブルも同じなのだが、知る人ぞ知るプレーではないので、あえて積極的に語ろうという感激や驚きを、抱きにくくなるのだ。

 低身長国のニッポンからやってきたライターの目が釘付けになるのは、むしろS、Mサイズの選手が、高々としたジャンプで、長身選手と空中戦を渡り合う姿を見た時だ。判官贔屓をくすぐられる眩しい光景に映る。小よく大を制すその姿は、こちらの理解を超えた、不思議な光景にも見える。

 CBでは、3人の名前を挙げてみたい。ダニエル・パサレラ(173センチ)、イバン・コルドバ(173センチ)。Sサイズの2人と、Mサイズのロベルト・アジャラ(177センチ)だ。身長が10センチ低いCBと同じ到達点でヘディングを争えば、身長が低い選手が10センチ高く跳躍したことを意味する。その差は腰の位置に顕著に現れるので、ふわりと浮いたように映る。身体の部位の中で一番重そうに見える腰が軽く見える。まさに異能の持ち主に見える瞬間である。

 特に、バレンシア等で活躍したアジャラは、その場で飛ぶスタンディングジャンプの打点が高い選手だった。見せ場はマイボールのセットプレーだった。特に相手ゴール前にポジションを構えるCKでは、大きな得点源として存在感を発揮することになった。

 スッと真上に高く飛ぶ。トランポリンで跳ねたように、最高点に一瞬で到達する。遅れてジャンプした相手の長身CBの力を借りるように、空中に居止まり、頭をボールにヒットさせる。

 177センチが190センチ級に勝とうとすれば、相手に全力で立ち向かう姿を想像するが、アジャラの身のこなしに力感はない。小よく大を制すと言うより、柔よく剛を制すといった感じで、それを軽々と演じる姿は痛快だ。まさに判官贔屓をくすぐられる瞬間だ。

 FWでは、身近なところではオーストラリア代表として活躍したティム・ケーヒル(178センチ)だ。記憶に鮮明なのは2014年11月。大阪長居で行なわれた日本(アギーレジャパン)対オーストラリア戦だ。試合の終盤、敵ながらあっぱれと拍手を送りたくなったヘディングシュートを、ケーヒルは決めて見せた。