2021.02.13

メッシと同種の能力。ペップがシティの「新マジシャン」に固執する理由

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

◆サッカーIQで勝負。相手を手玉にとるマンチェスター・シティの連動>>

 フォーデンが9歳でシティのアカデミーでプレーし始めたころは、ちょうどアブダビ(UAE)の資本が入ってきて、シティは一躍リッチクラブとなった。フォーデンはクラブの苦節の時期を直接は知らない。ただ、親や周囲から伝え聞いていることはあるに違いない。地元育ちの、生え抜き中の生え抜き。ペップが「フィルこそシティ」と言ったのはこうした背景があるわけだ。シティの歴史が血の中にある選手である。

 フォーデンと同い年のジェイドン・サンチョはシティの下部組織でプレーしたが、17歳でドルトムントへ移籍している。ロンドン郊外の出身で、ワトフォードを経てシティに来たが、サンチョはプレー機会を求めていた。ドルトムントではすぐにブレイクを果たし、次のシーズンには主力となった。サンチョの選択は正しかった。

 その間、フォーデンはシティの分厚い選手層に阻まれて、出場機会は限られていた。どちらもイングランドの逸材だが、スタートは明暗が分かれている。フォーデンには「絶対に放出しない」というクラブからの縛りがあったからだ。

 しかし、今季のフォーデンはいきなりエース格になっている。ケビン・デ・ブライネ(ベルギー)が負傷欠場中の穴を埋め、ここまで10ゴール、6アシストと活躍。サンチョには少し出遅れたかもしれないがまだ20歳。これからシティの象徴として存在感を増していくだろう。

 プレー機会やキャリアアップはプロとしてとても大事だが、地元の人々とのつながりも、クラブチームが本来持っていた不可欠のものだ。かつてバルセロナで今のフォーデンと似た立場だったペップには、それがよくわかっているのだと思う。

関連記事