松井大輔が引退を語る。「カズさん、俊輔さんと違う道を探して切り開く」 (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • サイゴンFC●写真提供 photo by Saigon FC

「いつものようにカズさん(三浦知良)のグアム合宿に参加して、完璧に身体を仕上げて開幕を迎えたまではよかったんですけどね。そしたらコロナで中断期間が入ってしまい、身体を動かせない時期が予想以上に長期化してしまった。

 年齢的にも、あの状況から短期間でもう一度、身体を作るのが本当に難しくて......。夏場からは月の初めにケガをして、2週間かけて復帰して、また翌月の頭にケガをするという負のループに入ってしまいました。

 個人的に下さん(下平隆宏監督)のサッカーは好きだったし、僕をボランチで起用してくれたのも下さんだったし、調子さえ上げれば必ず出場機会はあると信じてがんばっていたんですが......。結局、がんばりすぎてしまったのがよくなかったんでしょうね。ただ、そんななかで、11月にベトナム行きの話をもらったので、タイミング的にもよかったと思っています」

---- 今回の移籍でキャリア通算12クラブ目となりましたが、高卒で京都パープルサンガに入団した時、自分がこれだけ多くのクラブを渡り歩くと想像していましたか?

「まったく思ってなかったです。そもそも2010年の南アフリカW杯が終わった時は、なんとなく32、33歳くらいで引退するんだろうなって思っていましたから。まさかこんなにいろいろな国に行って、これだけ長く現役を続けているとは思いませんでした」

---- いろいろな積み重ねだとは思いますが、なぜ今もまだ現役を続けられているのでしょう? そのエネルギーの源は何だと思いますか?

「本当はW杯を経験したあとに、もっとキャリアをステップアップさせていなければいけなかったんですけどね。ただ、それが叶わないと感じた時、それなら日本に戻って活躍してやろうと思ったんです。

 僕のプロキャリアは今年で22年目になりますが、これまでは日本で11年、海外でもトータル10年プレーしました。でも、振り返ってみると、日本での実績と海外での実績に大きなギャップがあると感じていて、海外では周りに必要とされていることを実感しながら自分らしいプレーができているのに、日本ではそれができていないんです。

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