松井大輔が引退を語る。「カズさん、俊輔さんと違う道を探して切り開く」

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • サイゴンFC●写真提供 photo by Saigon FC

松井大輔インタビュー@後編

 サイゴンFCビン会長のビジョンに共感し、昨年12月に横浜FCから移籍した松井大輔。彼は今、ベトナムの地でサッカーの伝道師役を担い、そしてピッチに立つサッカー選手であることの喜びを感じながら、充実した日々を過ごしている。

 とはいえ、39歳のベテランにとって「現役引退」という現実は確実に迫っている。そんななか、松井はどのような未来図を描いているのか。ベトナム行きを決めた本当の理由、今も現役であり続けられる理由、そして、引退後の自分についても語ってもらった。

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松井大輔にベトナムでの生活を語ってもらった松井大輔にベトナムでの生活を語ってもらった---- あらためて、今回の移籍について聞かせてください。一般的に、人は年齢を重ねると変化よりも安定を求める傾向がありますけど、4年前にポーランド行きを決めた時と比べて、今回の海外移籍のハードルは高くなっていましたか?

「たしかに昔よりハードルが上がりましたね。たとえばこの年齢になると、整体や身体のケアをするための整った環境があるかないかが大事になってくるので、できるなら同じ場所に腰を据えてサッカーをするのがベターだし、それが普通の考え方だと思います。でも今回は、あえて気持ちをもう一度奮い立たせました。

 僕のなかで、36歳でポーランドに行って何も残せなかったことが引っかかっていたんだと思います。だから、39歳で外国に行っても楽しくサッカーができるということを証明したかった。そもそもこの年齢でそういう機会に恵まれること自体が珍しいことですしね。そのうえで会長の話を聞いて、そのビジョンに共感することができたので、移籍を決断できたのだと思います」

---- 昨年はケガも多くて、なかなか試合に絡めませんでした。移籍2年目にボランチで新境地を開いてJ1昇格に貢献していただけに、自分が描いていたシナリオとはまったく異なるシーズンになったわけですが、その苦しみを自分のなかでどのように消化していましたか?

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