松井大輔が見たベトナムサッカー事情。実はベテランにとって厳しい環境 (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • サイゴンFC●写真提供 photo by Saigon FC

---- サイゴンFCというクラブについて聞かせてください。先日、霜田正浩氏(元日本サッカー協会技術委員長、レノファ山口前監督)がクラブのシニアダイレクターに就任されました。チャン・ホア・ビン会長が日本人を積極的に登用しているようですね。

「ええ。霜田さん以外に僕も含めた選手4人、トレーナーを含めたスタッフが3人と、計8人の日本人がいます。クラブは去年からFC東京と提携していて、とくにアカデミーの充実に力を注ぎたいと考えているようです。会長も『去年はクラブハウスなど施設の充実を図ったので、今年からは国際化を進めてアジアでも戦っていけるクラブにしたい。そしてベトナム代表選手を輩出できるようなクラブにしたい』と言っています。

 タイトル獲得よりも、まずは育成型のクラブを構築するために、経験のある日本人からそれらのノウハウを取り入れたいようです。実際、会長は日本に20年以上住んでいた経験があって、そのなかで勤勉で優しく、人に何かを教えることが上手な日本人に感銘を受けたみたいで、僕たち日本人のことをとても信頼してくれています」
(編集部注:2月には琉球FCとアジア・ストラテジック・パートナーシップ契約を締結)

---- 開幕戦では背番号10番を背負って、キャプテンマークを腕に巻いてプレーしました。周囲からの大きな期待を感じているのでは?

「そうですね。会長からは『ベトナム人は自己管理ができず、練習が終わったらすぐに遊びに行ったり、飲みに行ったりするので、彼らの見本としてプロフェッショナリズムを教えてほしい』と言われて、キャプテンを任されました。

 たしかにベトナム人選手は、サッカーに対する情熱が日本人よりも薄いのかなって感じることもあります。なかには『日本でプレーしたいので、いろいろ教えてほしい』と言ってくる選手もいますけど、全体的には会長から聞いていたとおりのタイプが多い。だから僕としては、自分の知っていることをできるだけ多く伝えて、サイゴンFCやベトナムサッカーに貢献したいと考えています」

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