前半戦終了の欧州サッカー。市場価格が上昇した日本人選手ベスト5 (4ページ目)

  • 鈴木達朗●文 text by Suzuki Tatsuro
  • photo by Getty Images

久保建英の市場価格上昇は、ヘタフェでの活躍次第だ久保建英の市場価格上昇は、ヘタフェでの活躍次第だ◆久保建英と中井卓大。先にレアルのトップにたどり着くのはどっち?>>

2位 久保建英(ヘタフェ)
上昇額650万ユーロ(約8億1900万円)/市場価格2000万ユーロ(約25億2000万円)

 何年にもわたり、日本のサッカーファンたちは才能あふれる久保建英のプロ選手としてのキャリアの成功を待ちわびている。だが、久保のケースは、「トランスファーマルクト」内の市場価格と実際の評価額の違いを示す好例だ。ここで少し、日本国内の選手の「トランスファーマルクト」内の評価について話をしよう。

 久保が日本国内でプレーしている間、「トランスファーマルクト」内の評価額は、低いものだった。その理由は、「トランスファーマルクト」が世界中の選手を比較可能にするのを目的としているからだ。そのため、サイト内の市場価格は、ヨーロッパの移籍市場の評価を基準としている。

 日本国内で、久保の存在は大きなものだったのは間違いない。だが、サイト内で基準となる欧州の市場に上がったのは、18歳になってからだ。それ以前に、すでに数百万ユーロの評価がついていた可能性もあるが、それがメディアや一般の話題となっていたのは主に日本国内であり、「トランスファーマルクト」の評価にそれほど反映されていなかった背景がある。

 そのため、欧州の市場と離れている選手たちの実際の市場価格と、サイト内の評価額の差が大きく開いてしまうことが多々ある。日本国内の選手たちが、サイト内では数十万ユーロの市場価格に設定されていても、実際の移籍市場ではもっと高い評価がされているケースは大いにあるのだ。

 ヨーロッパの舞台にやって来ると同時に、久保の市場価格は期待どおりに跳ね上がった。スペインで"タケ"と呼ばれる名手は、マドリードでのプレシーズンで観衆を感激させた。レンタル移籍先のマジョルカでは、潜在能力の高さを証明してみせた。

 年齢的にも若く、レアル・マドリードというビッグクラブが所有権を持っていることもあり、市場価格も3000万ユーロ(約37億8000万円)まで一気に跳ね上がった。ただ、この急激な評価の上昇は、ビジャレアルでは維持できなかった。それは、久保自身の責任とは言い難い理由だ。ウナイ・エメリ監督のチームはすでに固まっていて、短期間でその序列を崩すには至らなかったのだ。

 再び移籍市場でスポットライトを浴びるチャンスを掴むためにも、ヘタフェへの移籍は必要だった。ビジャレアルとはまったく違うスタイルのヘタフェで適応し、再び活躍を見せれば、市場価格はさらに上昇するだろう。久保の才能と幅広く起用できるフレキシビリティを見れば、その可能性を否定する理由はない。

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