「反逆児」スアレスが爆発中。バルサ→アトレティコでどう変わったか (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by AFLO

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 GK、DF、そして味方の動きを一瞬で把握している。いつ、どこへ、シュートすればいいのか、あるいはパスしたほうがいいのか。周囲の敵味方がどう動いているか、動こうとしているか、それを同時に一瞬に読み取れる才能が圧巻である。

<軸足を「抜く」鋭角ターン>

 アヤックス(オランダ)でプレーしている時から、不思議な選手だった。

 軽快ではなく、むしろ重い感じなのだが、異常にキレがある。「太っちょ」というニックネームのとおり、182㎝、86㎏は重戦車の迫力だ。しかし、切り返しは急角度で、ぶった切るようにマークを外していった。

 スアレスの急角度の切り返しは、トレードマークだ。深く切り返しているのに、瞬時に方向を変えられる。軸足を抜くのがうまい。

 例えば、右足のキックフェイントから切り返すなら、右足でボールを左方向へ動かしたあとに体重は右足にかかる。この時、スアレスは両足で踏ん張らない。両足で踏ん張ってから左方向へ動こうとはせず、左足を抜いてしまうのだ。地面からすぐに放してしまうのである。

 すると、左足が「ない」ので体は左側へ大きく傾く。スアレスはその傾きを利用し、抜いた左足のツマ先の方向を変えてから着地させ、左足→右足の素早い体重移動で相手の左へ動く。ナタでぶった切るような切り返しのわりに、ステップは意外と細かいのだ。

 通常と同じく体重の移動は右足→左足なのだが、右足→(左足抜き)→左足という足さばきなので、その後の左足から右足への運びも速い。おそらくこのほうが速く方向転換ができるし、より鋭角的なターンになる。

 あまりに急角度なので、足を滑らせて転ぶ時もあるぐらいだ。対面の相手がこの急旋回についていけず、オブストラクション気味に体をぶつけてしまうこともあるが、その時は重戦車のようなパワーで押し切ってしまう。

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