メッシの巨額報酬が暴露された理由。リークしたのはバルサの誰だ? (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

「NBAの場合、選手とチームの契約は公開されている。なぜアメリカでは許されて、スペインではダメなのだ?」

 ただ、「エル・ムンド」が暴露しているのは、あくまでもメッシひとだけである。その他の高額契約の選手、ルイス・スアレスやアントワーヌ・グリーズマン、フィリペ・コウチーニョらの金額には一切触れていない。つまりターゲットはメッシひとりなのだ。

 そしてその目的はバルセロナを混乱させることにある。メッシの契約書のコピーを、マドリードの新聞が載せる。スペイン人から見れば、これはバルセロナを狙って落とされた爆弾であることを容易に理解するだろう。

 確かにメッシの報酬額は馬鹿馬鹿しいほど高額だ。しかし、物事は可能な限り多様なアングルから見ることが重要である。

 アルゼンチンの最大手の新聞は、「エル・ムンド」を真似て一面を作った。しかしそこには別の数字を入れている。

「650、260、755:すべては値する」

 つまりメッシはこれまでバルセロナのユニホームを着て、650ゴールを決め、260のアシストをし、755試合をプレーしている。その金額に見合う活躍をしているというのだ。実際、メッシはこの報道が出た後のアトレティコ・ビルバオ戦で見事なゴールを決めている。

 バルセロナがその100年の歴史の中で勝ちとったタイトルの3分の1は、メッシと共に勝ちとっている。彼は実に35ものタイトルをバルサにもたらしているのだ。この記録は世界の誰も持ってはいない。

「エル・ムンド」のもうひとつの狙いは、メッシをほしがるビッグクラブに警鐘をならすことだった。

「マンチェスター・シティ、気をつけろ、メッシは君たちを破滅させるぞ。PSG、メッシは買わないほうがいい、彼はこんなに金がかかる。メッシはチケットやスポンサー収入で君たちを潤すのではない。その証拠がなによりもバルセロナが抱えている莫大な借金だ」

 しかし、それは勘違いもいいところだ。バルセロナの次期会長選(3月)に立候補しているジョアン・ラポルタはこの報道の後にこう言っている。

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