中田英寿の脚を削りベッカムを一発退場に。シメオネのすごすぎる武勇伝 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 激しくバックチャージしたところでせいぜいイエロー。一方、報復行為の代償は重い。一発レッドの対象になる。この不条理とも言える判定の盲点を、シメオネは計算高く突く。正直者のベッカムはその術中に、まんまとハマってしまったのだ。

 もしサッカー選手ではなかったら、シメオネはどんな人になっていただろうか。その現役時代、幾度も要らぬことを想像したものだが、アトレティコの監督として采配を振る現在の姿を見ると、「人は見かけによらぬもの」を痛感せずにはいられない。こちらに見る目がなかったことを詫びたくなる。同時に、その希少価値に対して、敬意を表したくなるのである。 

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