冨安健洋がロナウド、イブラと対戦へ。CBとしても最高評価を獲得

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • photo by Maurizio Borsari/AFLO

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 それはデータからも読み取れる。12回の空中でのデュエルに8回、3回の地上でのデュエルに2回競り勝ち、インターセプト4回、クリア3回、シュートも1本放っている。彼がどれだけチームに貢献したかわかるだろう。イタリアの各メディアも彼を絶賛し、最高点「7」をつけた。

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のマッテオ・デッラ・ヴィータ記者は「どんな危ないシーンでも、虎かドラゴンのような目をして対峙した。まさにミハイロビッチが望んでいたものだ」と書けば、『コリエーレ・ディ・ボローニャ』紙は「冨安、センターでも力を発揮」と銘打ち、「冨安がイタリアに来てからのベストマッチ」と称賛した。

 スカイスポーツの解説をしていたミランのレジェンド、アレッサンドロ・コスタクルタにも、冨安は歓声を上げさせた

「敵より先んじるという点では、冨安はセリエAの中でもベストのひとりだ。彼がまだ22歳だということも忘れてはいけない。これからまだまだ成長を遂げていくだろう」

 そして何より、ミハイロビッチ監督が彼のプレーを高く評価した。

「チームが力を合わせて勝利した時に、選手個人の話をするのはあまり好きではないが、今日のトミーはすばらしかった」

 だが、闘将はこう釘をさすのも忘れない。

「ただあともうちょっと、日本人らしさを捨ててくれれば......」

 ちなみにボローニャは、11月29日以来、勝利から遠ざかっていたが、この試合で8節ぶりに白星を手に入れた。現在順位は12位、このまま降格圏に近づかないでシーズンを終えることが目標である。

 この後、ボローニャは、今週末の第19節ユベントス戦、来週末の第20節ミラン戦と、強豪との試合が続く。ユベントスは現在5位で1試合も落とせる状況ではない。必死で勝ちにくるだろう。ミランも首位を守るために全力でぶつかってくるはずだ。つまり、冨安にはクリスティアーノ・ロナウドとズラタン・イブラヒモビッチとの真剣勝負が待っている。もしここで彼らを相手にいいパフォーマンスができれば、冨安の評価は今まで以上に高くなるだろう。

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