欧州CLラウンド16展望。ベスト8に勝ち進むのはどこか? (5ページ目)

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◆欧州CL出場各クラブの現状を解析! コロナ下の超過密日程の影響は>>

中山 僕も、現在の両チームの状態であればマドリー優位だと思います。ただ、ひとつ歯車がかみ合わなければ、アタランタが金星を挙げる可能性もあると見ています。というのも、アタランタのサッカーはどのチームにとってもじつに対応が難しくて、それは昨シーズンのファイナル8で、ギリギリで勝利したパリを見ても明らかです。3バックの選手や両ウイングバックが、スペースを見つけながら果敢に前進して攻撃に絡んできて、全体がものすごく流動的に動いて次から次へと選手が湧いて出てくる。守る側としては、どうしても受け身になりやすいですよね。しかも、前から激しくプレッシャーを仕掛けてくるので、最終ラインからのビルドアップも工夫をしないと引っかかってしまうでしょう。

 それをイメージすると、小澤さんが言うようにマドリーがいかにしてプレスをはがすか、あるいはカウンターのかたちを準備しておくかがポイントになるでしょうね。その点で今シーズンのマドリーで少し気になっているのが、CBのラファエル・ヴァラン(フランス)のパフォーマンスです。彼はまだ昨シーズンのファイナル8のミスを引きずっているように見えます。いつもよりポジショニングが弱気で、オフサイドをとれる場面でも下がってカバーリングを選択するシーンが目立ち、それが失点につながることもあります。また、ビルドアップ時のパスが引っかかるシーンも目にするので、アタランタのプレスの餌食になってしまわなないか、不安材料を挙げるとしたらそこになります。

 もっとも、アタランタが勝利するためには、やはりアレハンドロ・ゴメス(アルゼンチン)とジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督(イタリア)の和解が条件になるので、もしそれが叶わないとすれば、自慢のチームワークが崩壊して大敗する可能性もあると思います。

倉敷 コンデシションが良く、かつ本気のアレハンドロ・ゴメスがいれば、アタランタは爆発的な攻撃力も、0-0、1-0といったロースコアでも勝ち切れる粘り強さも持っています。すでに大舞台での経験値も蓄えたアタランタは、マドリーにとってやっかいな相手でしょうね。しかもマドリーは、第1戦と第2戦の間に国内リーグを3試合消化しなければなりませんが、そのなかには好調レアル・ソシエダ戦とアトレティコとのダービーマッチが組まれています。小澤さん、マドリーは今季も日程面では悩ましいですね。

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