欧州サッカー3賢人がCLラウンド16・因縁の対決を徹底分析!

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倉敷 パリは、年末に驚きの監督交代劇がありました。フロントは突然トーマス・トゥヘル監督(ドイツ)を解任し、クラブOBでもあるマウリシオ・ポチェッティーノ(アルゼンチン)を招へいしましたが、一体何が起こったのでしょう?

中山 トゥヘルとレオナルドSD(スポーツディレクター)の間にある確執は以前から報道されていましたが、個人的にはこの件もアル・ケライフィのプライドと執念が多分に影響していると見ています。そもそもこのクラブの重大事項の決定権はアル・ケライフィにあって、監督人事、ネイマールやエムバペなどクラブの顔となる選手のことは、すべて会長自身が取り仕切っています。だから、これまでの積み重ねによる評価が下されたというのは表面的な理由であって、レオナルドの問題も一部分でしかないと思います。

 そういう視点で今回の解任劇を見てみると、まず国内でリヨンに敗れてリールに引き分け、リーグを首位で折り返せなかったことをアル・ケライフィは許容できなかった。確かにコロナ陽性者や故障者が続出した影響は否めませんが、それにしても紙一重で首位通過を果たしたCLのグループステージも含めて、前半戦の内容が悪すぎました。それが、会長のプライドを傷つけた部分。そして執念の部分では、ラウンド16の対戦相手が因縁のバルサに決まったことが、トリガーを引くきっかけになったのではないでしょうか。バルサ相手に4度も負けるわけにはいかない。そう考えると、今季のトゥヘルのマネジメントでは安心できず、ここで大ナタを振るってチーム全体に喝を入れる必要があると考えたとしても、不思議ではありません。

 ただ、個人的には昨季国内3冠とCL準優勝を果たしたトゥヘルにもう一度チャンスを与えてほしかったのが正直なところです。彼は指導者としてもパリで成長したと思いますし、何よりネイマールを中心にチームがファミリーのような集団になったことが最大の功績だと思います。トゥヘルの緻密な戦術をネイマールが受け入れているのも、すべてはその良好な関係があってこそ。今回の決定にネイマールが失望したという話も、決して嘘ではないと思います。

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