「名選手、名監督にあらず」の格言を実証したスーパースターたち (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyam Shigeki
  • photo by REUTERS/AFLO

 CL等の欧州サッカーを少し観察していれば、これは絶対に選択しない采配だ。アルゼンチンの監督は概して欧州的で、伝統的に優秀な監督を多く輩出している。アルゼンチン協会は、どうしてこの時、マラドーナを代表監督に据えたのか。アルゼンチンとライバル関係にある隣国、ブラジルを見ているようだった。

「ブラジルにいいサッカー監督は必要ない。その分、いい選手がいるから」。その昔、あるアルゼンチン人記者は、こちらにそうレクチャーしたが、2010年南アフリカW杯のアルゼンチンは、そうした意味でブラジル的だった。

 欧州で活躍したブラジル人監督は数えるほどだ。最も有名なのはルイス・フェリペ・スコラーリ。2002年日韓共催W杯でブラジル代表を優勝に導いたあと、ポルトガル代表監督(2002年~2008年)に就任。その後、チェルシーの監督(2008-2009シーズン)も務めている。

 もう1人は、ヴァンデルレイ・ルシェンブルゴ。ブラジルの各クラブで数々のタイトルを獲得し、ブラジル代表監督でも手腕を発揮。その実績を買われて、2004-2005シーズンにレアル・マドリードの監督を務めた。

 それぞれの評価は、ポルトガル代表を率いていた際、ユーロ2004で準優勝、2006年ドイツW杯で4位という成績を残している前者のほうが断然高かった。だが、ともに現役時代は名選手ではなかった。

 有名選手では、1978年、1982年、1986年とW杯に3度出場しているブラジルの英雄、ジーコがいる。2006年ドイツW杯終了後、日本代表監督を退任したあと、フェネルバフチェ(2006年~2008年)、ブニョドコル(2008年)、CSKAモスクワ(2009年)、オリンピアコス(2009-2010シーズン)を率いた。また、イラク代表監督(2011年〜2012年)なども務めている。

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