2021.01.12

「久保建英ショー」のデビュー戦。連係際立ったバルサ出身トリオ

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

 アディショナルタイムには、敵陣で自ら相手ボールを強奪し、ショートカウンターを発動。ドリブルで持ち上がり、エリア内に入ったところ、手を使って背後から倒された。ノーファウルの判定だった。PKに相当するコンタクトだった。

 最後の30分は、まさに「久保ショー」だった。注目される状況で、ハンデをものともせず、ふてぶてしいほどのプレーを見せている。これが「星のもとに生まれている」ということなのか。

「久保は一度も練習していない。難しい状況だった」

 ヘタフェを率いるホセ・ボルダラス監督は言う。

「試合前にホテルで、ピッチに立った時にチームに何をもたらせるか、という説明をした。結果として、彼はすばらしいディテールを見せてくれたよ。これからもチームを助けてくれるはずだ」

 久保は右サイド、もしくはトップ下として、ポジションをつかむだろう。アレニャ、ククレジャという理解者がいるのは心強い。実力だけでなく、強運のようなものも持つ。

 しかし、久保がヘタフェの戦いにフィットできるか――。それはこれからの話だ。

◆久保建英はヘタフェでフィットするか。柴崎を見切った指揮官の戦術は>>

 ヘタフェは90分を通じ、ボールにしつこく激しくアプローチし、蹴り合いの中でゴール前に殺到するプレー様式を採用している。事実、その闘争が勝利に結びついていた。後半、久保が登場してきたとき、相手のエルチェの消耗は明らかだった。退場者を出したこともあって、完全に勢いを失っていた。戦局を一気に優位に運べるだけの条件は整っていたのだ。

 地元メディアがこぞって、この試合で最も高い評価を与えたのは、GKのルベン・ジャネスだった。前半終了間際、押し込むだけの決定的シュートをビッグセーブ。「チームとして耐え抜きながら、試合の潮目を変えることで、逆転勝利につながった」という論調だ。

 助っ人である久保は、先発で真価が問われる。まずは、ヘタフェを降格圏から完全に脱出させることが肝心だ(エルチェ戦の勝利で13位に浮上したが、もし負けていたら、18位に沈んだエルチェに逆転されていた)。