モウリーニョ戦術の最重要人物。急所を突かせない新スタイルとは? (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 ジョゼ・モウリーニョ監督は、おそらくこの重要スペースを早めに埋めることにしたのだろう。ただ、最初から5バックにするのではなく、MFをひとり下げる選択をしたのが新しさであり、それが攻守に効果をもたらしているのだが、それにはホイビュアの存在が大きく影響している。

<モウリーニョ戦術のキーマン>

 デンマーク生まれの25歳。BKスキョル、FCコペンハーゲン、ブレンビーIFのユースチームを経て、2012年にバイエルン(ドイツ)へ移籍した。

 17歳でのブンデスリーガデビューは、当時バイエルンで史上最年少だった。ただ、そのままレギュラーポジションを獲得したわけではない。2012-13シーズンはユップ・ハインケス監督の下で3冠を達成したシーズンである。レギュラーポジション獲得は難しく、ホイビュアはアウクスブルク、シャルケへ貸し出された。

 2016年にはプレミアリーグのサウサンプトンへ移籍。そこでも当初はレギュラーに定着できなかったが、2018-19シーズンからは不可欠の存在となり、スパーズへの移籍が実現した。

 ユース時代は攻撃的MF、ときにはストライカーとしてプレーしたホイビュアの目標はジネディーヌ・ジダン(フランス)だったという。大柄だが柔らかいボールタッチ、パスセンスは、洗練されたプレーメーカーとしての資質がうかがえる。ただ、現在のホイビュアはジダンよりもずっと守備型のMFになっている。

 スパーズは引いた時には、ボールサイドのボランチがCBとSBの間に入る。これに連動してトップ下の選手は5バックの前のスペースを埋める。両サイドもFWのケインも引く。システムとしては5-4-1になり、いわゆる 『大型バスを置く』格好だ。

 ここまで引いてしまえば確かに守備は固くなるが、ここで奪っても通常は攻撃ができない。しかし、ディフェンスラインに吸収されるホイビュアとシソコには、キープ力と展開力があり、相手のハイプレスをかわせる力がある。

 さらに、引いてくるトップ下(タンギ・エンドンベレ/フランスか、ジオバニ・ロチェルソ/アルゼンチン)もまた、ハイプレスを受けてもボールを失わない強さと技術がある。トップのケインに預けてもタメがつくれる。

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