冨安健洋の評価額は3年で18倍。今冬のミラン移籍は実現するか (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 しかし今シーズンは、指揮官が予告したとおり、満を持して本職のセンターバックにポジション変更。相棒ダニーロ・ラランジェイラとともに不動のセンターバックコンビの一角として、開幕からスタメンでプレーし続けている。

 ただ、可変式の4−2−3−1を基本とするミハイロビッチ監督のスタイルは失点の多い傾向が否めず、今シーズンも11試合を終えた段階で22失点。1試合平均2失点という状況下では、当然ながらセンターバックを務める冨安の評価への影響は避けられない。

 たとえば、珍しく3バックを採用した第10節のインテル戦では、ロメル・ルカクとアクラフ・ハキミにやられて自身も2失点に関与。試合後に指揮官が自らの失策を認めたものの、3バックの左サイドでプレーした冨安のプレー評価も散々だった。

 さらに、4−3−3で臨んだ続く第11節のローマ戦でも、開始からチームの守備戦術が崩壊して5失点。左センターバックに戻った冨安も前に出るタイトな守備を見せたものの、逆にそれが仇となってローマの3トップのエディン・ジェコ、ヘンリク・ムヒタリアン、ロレンツォ・ペッレグリーニによる流動的な動きに翻弄された。

 さすがに後半はベンチも動き、3枚代えを行なって3バックに変更して修正を見せたが、1−5で大敗した試合後はミハイロビッチ監督が選手の不甲斐ないパフォーマンスに激怒。クリスマスまでの合宿を宣言するなど、チームの調子も下降気味だ。冨安個人にとっても、悩ましい状況といえる。

 とはいえ、冨安に対するミハイロビッチ監督の信頼はまったく揺らいでいない。それは、今シーズンの冨安のスタッツにも表れている。

 これまでの11試合すべてでスタメンフル出場。これはチーム唯一であり、セリエA全体のフィールドプレーヤーで見てもわずか8人しかいない。実際、後半から3バックにシステム変更したローマ戦でも、冨安は左センターバックから左ウイングバックにポジションを変え、終了間際には相手ボックス内に進入してシュートを放つなど、あいかわらずの対応力の高さを証明した。

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