マラドーナが典型。10代でデビューしてスーパースターになった選手たち (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 そのマラドーナは別格としても、現代においても語るに相当する10代を過ごしたスーパースターがいる。そのなかでも、現在市場価値が最も高額なフランスの至宝キリアン・エムバペは、鮮烈かつ充実の10代をすごしたヤングスターの筆頭だ。

 14歳でモナコに入団したエムバペのトップデビューは、2015-16シーズン。15年12月2日に行なわれたリーグアン第16節カーン戦の88分におとずれた。

 当時チームを率いていたのは、ポルトガル人のレオナルド・ジャルディム監督で、エムバペはまだ16歳11カ月と12日。すでにフランス国内では数十年にひとりの逸材として知られた神童は、ティエリ・アンリの記録を塗り替えてクラブ史上最年少出場記録を更新すると、第27節のトロワ戦では17歳と2カ月で初ゴールをマーク。これもアンリの記録を更新し、クラブ史上最年少得点記録を樹立した。

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 もっとも、11試合1ゴールに終わったそのシーズン、エムバペはまだモナコのU-17やU-19のチームでのプレーを主とするアマチュアの身だった。そして、モナコ入団時にかわした3年間の育成契約が満了を迎えると、複数のビッグクラブによる争奪戦を経て、16年3月20日にモナコと初めてのプロ契約をかわした。

 特筆すべきは、当時トップチームに帯同していたエムバペが、そのシーズンのU-19の全国大会「ガンバルデッラ・カップ」の準決勝から急きょモナコU-19に合流し、いきなり2ゴールを挙げてチームを決勝に導くと、スタッド・フランスで行なわれたランスとの決勝戦でも、2ゴール1アシストをマークしたことだった。

「ガンバルデッラ・カップ」は、かつてカリム・ベンゼマ(レアル・マドリード)やハテム・ベン・アルファ(ボルドー)らを全国に知らしめた若手の登竜門とも言われる大会。その舞台で、別格の存在感を示して優勝に貢献したエムバペは、歴代最高のタレントとして称賛された。

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