2020.12.09

メッシ茫然。CL大敗にリーガ勝率5割の屈辱。バルサの伝統はどこへ?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

 まず、ダブルボランチにしたことで、どうしても後ろが重たくなる。高い位置でボールをつなげず、プレースピードも上がらない。相手の逆を取るような攻撃が生まれず、守備陣形を崩せないのだ。

 例えば、右アタッカーがスタートポジションのメッシが、プレーメーカーのような位置を取った時、右サイドバックのセルジーニョ・デストが右アタッカーのような高い位置を取って、枚数自体は増やしている。しかし、デストは攻め上がったスピードで相手にダメージを与えられる選手で、上がったままの状態でボールを受けても脅威にはならないのだ。

 バルサ本来の攻撃のコンビネーションも、影を潜めている。カディス戦での左サイドのフィリペ・コウチーニョは無残な出来だった。ひとりで決めようという気負いが強すぎ、逆にボールの流れを悪くし、左サイドバックのジョルディ・アルバの攻め上がりを台無しにしていた。左からの攻撃をノッキングさせていたのだ。

「選手には(カディス戦のプレーに)自分が怒っていることを伝えた」

◆「バルサを救った『クライフの使徒』。ライカールトが語った監督の本懐」>>

 敗戦後にクーマンはそう語ったが、采配自体も疑問が残った。

 オウンゴールの若手センターバック、オスカル・ミンゲサを下げ、ペドリを投入し、ボランチのフレンキー・デ・ヨングをセンターバックに配置したのは苦肉の策だっただろう。しかし、チームが総出で前がかりになる中、クレマン・ラングレひとりが最終ラインに残る形となり、ストレスは大きかった。それがスローインの処理を誤る、という失点に結びつく凡ミスを生んだ。

 結局のところ、現在のバルサは個人がどうにかするしかなく、チームとしては破綻しかけている。ダブルボランチで表面上、体裁が整っただけ。システム的に重要となる1トップも、マルチン・ブライスワイトのような平凡なFWしかおらず、凡庸さだけが増した。増強されたはずの守備も、ジェラール・ピケの負傷離脱で崩れつつある。そもそも、バルサは守りに入って勝てるような布陣ではないのだ。