モウリーニョの必勝パターンを分析。トッテナムは優勝のチャンスあり (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 今季のスパーズには優勝のチャンスがある。世界最高のコンビ、ケインとソンがいる。ライバルのシティ、アーセナル、マンチェスター・ユナイテッドはスタートダッシュに失敗。リバプールは負傷者が続出しているのだ。そして、監督就任2年目の時のモウリーニョは、たいがいタイトルを獲る。

<接戦に持ち込み、高確率で勝つ>

 チェルシーの監督に就任した時、モウリーニョは自らを「スペシャル・ワン」と称した。現在は「エクスペリエンスド・ワン」だと言う。監督として直面する出来事にすべて「既視感がある」そうだ。

 ベンフィカ(ポルトガル)で初めて指揮を執ってから20年。常にヨーロッパサッカーの最前線にいた。蓄積された経験値では、世界最高クラスだろう。

 数々のタイトルも獲得してきた。ポルト(ポルトガル)とインテル(イタリア)でチャンピオンズリーグ(CL)に優勝し、長いキャリアでは失敗だったマンチェスター・ユナイテッドでもヨーロッパリーグ(EL)を獲っている。CLとELの両方で優勝した監督は、モウリーニョが初めてだ。

 ベンフィカ、ポルト、チェルシー、インテル、レアル・マドリード(スペイン)、マンチェスター・ユナイテッド、そして現在のスパーズと、名門クラブを渡り歩いてきたわけだが、最もモウリーニョらしいチームではないかと思うのは、ポルトだ。

 それぞれにモウリーニョらしくはあるのだが、ポルトは原点とも言えるチームで、モウリーニョの考え方が色濃く反映されていた。

 2003-04シーズン、ポルトのCL優勝は番狂わせと言える。決勝で対戦したモナコ(フランスリーグ)も下馬評は低かったので、ファイナルはジャイアントキリングではないが、ポルトはラウンド16でマンチェスター・ユナイテッドを下している。

 準々決勝ではデポルティーボ・ラ・コルーニャ(スペイン)がミラン(イタリア)に勝ち、モナコはレアル・マドリードを破る番狂わせ。優勝候補とみられていたチームは全滅となり、ポルト、モナコ、デポルティーボ、チェルシーがベスト4だった。

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