2020.12.01

ロナウドはポジション転職最大の成功例。ウインガーからストライカーへ

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by AFLO

◆ロナウドがゴールを量産できる要因を分析。駆け引きのポイントは?>>

 スポルティングからユナイテッドに移籍したころ、ロナウドが現在のようなストライカーになるとは誰も想像していなかったはずだ。本人も同じだったと思う。

 かつて、FWをMFに下げるのは延命策の定番だった。相手の厳しいマークから解放し、よりプレッシャーの少ない場所で技術と経験を発揮して、第二のピークを迎える。

 マルコ・ファン・バステン(※80年代~90年代頭にミランやオランダ代表で活躍したFW)について、ヨハン・クライフは「少しポジションを下げていくだろう」と予言していた。そこで第二のピークを迎えるはずだと。しかし、ファン・バステンは相次ぐ背後からのタックルで負傷が重くなり、ストライカーとして3回のバロンドールを獲得したあと、引退を余儀なくされた。

 クライフの予言は当たらなかったわけだが、ファン・バステンが少し引いた位置で技術とビジョンをどう発揮していくのかは見てみたかった。

 ただ、ポジションを下げる形のかつての定番は、現在は使いにくくなっている。

 中盤へ引くことでプレッシャーは多少軽減されるかもしれないが、そのかわりに多大な運動量がのしかかってくる。以前は中盤にひとりくらい運動量の少ない選手がいても何とかなったが、現在のサッカーではそれは許容されなくなっている。

 逆に運動量を減らして、ゴール近くのプレーに集中するプスカシュ型のほうが、現代のポジション転職には向いているのかもしれない。ただ、それができるのはロナウドのようにゴール前で圧倒的な能力を発揮できるタイプに限られるわけだ。

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