本田圭佑のファンへの熱いメッセージが
空回りに終わった残念な理由

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

「ボタフォゴを愛するすべての人へ」

 そうタイトルを銘打って、本田圭佑がポルトガル語の長文のメッセージを自身のSNSに投稿した。

 これまで、本田が直接ファンに語りかけるようなことは、ほとんどなかった。多くのサポーターが、キャプテンなのに何も語ってくれない本田に少し物足りなさを感じていたのは事実だ。一部では、多少の皮肉も込めて「静かなるキャプテン」とも呼ばれていた。とにかくチームの中心である彼が何を考えているのか、誰もが知りたがっていて、今回はそれに応える形となった。

 メッセージの中で、本田はボタフォゴの財政難を取り上げ、どうしたらこの困難を乗り越えられるかを、具体的に提案した。サポーターもチームも皆がひとつになり、その場限りではないきちんとしたプランにそって着実に進むことで、健全なスポンサーを呼び寄せることができる――。

 選手がここまで踏み込んでチーム再建を提言することは、ブラジルではまず見たことがない。本田の書いたことそれ自体は、それほど目新しいことではなく、ごく当たり前のことだ。しかし、それをあえて発信した勇気には拍手を送りたい。

ボタフォゴのファンに向けてチーム改革を訴えた本田圭佑 photo by AFLOボタフォゴのファンに向けてチーム改革を訴えた本田圭佑 photo by AFLO 本田がツイートをするやいなや、多くのボタフォゴサポーターが反応した。そのほとんどは、本田がこれほどまでにチームのことを考えてくれていることに対して感謝するコメントだった。「こんなにチームのことを考えてくれるなんて感激した」「選手としてだけでなく人としてもすばらしい」「この際、本田にチームを運営してもらえ」......。

 ボタフォゴサポーターだけでなく、他のチームのサポーターからも称賛の声が上がった。また、元ブラジル代表で現在フラメンゴの背番号10ジエゴもこのツイートにいたく感激したようで、本田のインスタにこうコメントした。

「ありがとう友よ! 外国人がこれほどブラジルサッカーのことを心配してくれるのをうれしく思う。まさに君の言うとおりだ。こうしていけばブラジルサッカーはもっとよくなるだろう。我々ブラジル人も彼をもっと見習って、サッカーの向上に努めていかなければいけない。君と君のチームにとって、いいシーズンになりますように!」

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