名将リッピが駆使した「新種のカテナチオ」には1−0がよく似合う (4ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by AFLO

 ドイツW杯でのイタリアは、形は変わっていても、いかにもイタリアだった。1-0主義は健在、カテナチオがイタリアらしさの代名詞だとすれば、まさに新種のカテナチオといった趣であり、ユーベ時代のリッピ監督のサッカーだった。

 リッピは10年南アフリカW杯でも指揮を執ったが、この時はグループリーグであっさり敗退。すでにリッピのスタイルは時代にそぐわなくなっていた。ただ、広州恒大の監督として中国リーグを3連覇し、初のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)優勝ももたらした。

 ロマンスグレーと銀縁メガネ、葉巻を愛用するダンディな監督で、勝負に妥協のない強面のリーダーでありつづけた。

マルチェロ・リッピ
Marcello Lippi/1948年4月12日生まれ。イタリア・トスカーナ州ヴィアレッジョ出身。現役時代はサンプドリアなどでDFとしてプレー。82年にサンプドリアのユースチームから指導者としてのキャリアをスタート。1994にユベントスの監督に就任すると、1年目でチームを9年ぶりのスクデット(リーグ優勝)獲得に導く。ユベントスではスクデット5回、CL1回と数々のタイトルをもたらした。またイタリア代表でも06年ドイツW杯優勝などの成績を残した。その後広州恒大(中国)や中国代表を率いた。

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