欧州組日本代表の「将来性ナンバーワン」は久保建英か?冨安健洋か? (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 今季の久保はベンチスタートが主体で苦しいシーズンの幕開けになった。ただ、途中出場した試合後に「結果を残してないので」とコメントしていたが、こうした言葉からも彼の覚悟は感じられる。先月の日本代表戦でも発していたが、途中出場でプレータイムが短くても、出場時間の短さを言い訳にしていない。

 これは久保が、プレータイムの短さや与えられたポジションが、現状の自分の評価だと受け止めていて、それを変えるには「結果を残す」ことだと考えているからだろう。

 もちろん、一般的に考えれば10代の選手がラ・リーガの1部リーグ上位のクラブや日本代表でプレーして、評価を得ることさえ難しいこと。だが、久保の場合は期待が大きすぎるがゆえに、彼への見方が厳しくなっている気がする。

 今年19歳になった久保はすでに昨シーズンからラ・リーガの1部でプレーしている。このスピード感を考えれば、起用時間が短いからと焦ることはない。客観的に自己分析できる彼が、最終的に今シーズンをどう終えるのか。きっと我々の想像が追いつかないほど、大きく飛躍している気がしてならない。

 冨安健洋の今シーズンを見て、日本人選手で将来性ナンバーワンの存在は久保という考えを改めようと思っている。それほどすばらしいプレーをセリエAのボローニャで見せている。

 昨季は右サイドバック(SB)でプレーしたが、今季はセンターバック(CB)を務め、ボランチでもプレーできるユーティリティさもある。ヨーロッパで他の選手に引けを取らない187cmの高さと、フィジカルの強さを持ちながら、スピードもある。なによりポジショニングがいい。

 そして、セリエAというレベルの高いリーグで経験を積むことができている。これが冨安の成長スピードを加速させているのだと思う。

 39歳にして衰えがまったく見られないズラタン・イブラヒモビッチ(ミラン)や、クリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)といった怪物たちとマッチアップできるのだ。これはJリーグで十数年プレーしても体験できない。それを日常的に経験している22歳の冨安が、どこまで成長を遂げるのか。

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