2020.11.02

イブラヒモビッチの影響力。王はイタリアで神に!?「俺はズラタン」 

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

王様・カントナ、「カンフーキック」事件の名言。練習相手はベッカム>>

 ズラタンもカントナ同様、数々の俺様的名言を残している。

「ファン・バステンの後継者として期待されたが、それもうんざりだった。ファン・バステンになりたいわけでもなかった。俺はズラタンだ」

「俺を買うのは、フェラーリを買うということ。しかし、グアルディオラはディーゼルを給油して牧歌的な散歩をさせた」

「普通とは違う人間を潰そうとする行為を憎む。俺が変わっていなかったら、今の俺はなかっただろう。もちろん、俺みたいなやり方はお勧めしない。ただ、我が道を進めとは言いたい。それがどんな道であってもだ」

「俺は逆上するといいプレーができる。復讐心を活力に変えてきたんだ」

「世界最強のバルセロナだから闘争心が渦巻いていると思っていたが、行儀のいい小学生の集まりみたいだった」

 スウェーデンの辞書にはzlatanera(ズラタネラ/支配する)という造語が載っているそうだ。

<ズラタンか否か>

「伝説として」去ったパリ・サンジェルマンからマンチェスター・ユナイテッドに移籍したが、そこで右膝前十字靭帯断裂の重傷を負う。再起不能と噂されたが、医師団もびっくりの回復力を見せて復活。研究材料にしたいと言われたそうだ。

 37歳でアメリカMLSのLAギャラクシーに移籍。選手としての余生を過ごすものと思われたが、58試合で53ゴールの驚異的な得点力を見せつけ、19年1月にミランへ移籍する。すでにシーズンは半分を過ぎていたが、もしズラタンが最初からプレーしていたら優勝できたのではないかと言われるほどの快進撃を見せた。

 ミランはラルフ・ラングニックを新監督に迎える予定だったが、ラングニックが翻意して実現していない。ミランがズラタンとの契約を延長したことが原因だと思う。ラングニックは、自分とズラタンが水と油だとわかっていたからに違いない。