「メッシの敵」は退きユーベに勝利。
それでもバルサに残る火種とは

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFP/AFLO

 ロナウド不在に加えて、アルバロ・モラタが3回、際どいプレーでゴールを取り消される"幸運"もあった。1点でも返されていたら、結果はどう転んでいたか。

 ピルロが語ったように、バルサはチャンピオンになるだけの人材を揃えたチームであることは証明した。ピケが累積警告により不在で、代わりのロナウド・アラウホもケガにより前半交代するが、ブスケッツを中盤に入れ、デ・ヨングがCBに下がることで対処。選手のバリエーションが豊富で、それはチーム力と同義だろう。クラシコからの入れ替えで、アントワーヌ・グリーズマン、ウスマン・デンベレを先発させ、ボランチにはミラレム・ピャニッチを抜擢し、見事にシステムを運用した。

 クーマン・バルサは、クラシコ、ユーベ戦のふたつで、まったく違う顔を見せている。そのどちらもが真実かもしれない。言い換えれば、今は狭間にあって磐石とは言えない。過去のダブルボランチ採用時も、数試合は悪くなかったが、シーズンを戦う中で頓挫している。1試合でも不甲斐ない戦いで負けたら、批判が巻き起こる。ファンの間では理想のバルサがあるだけに......。

 これからも綱渡りの戦いになるはずだ。

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