南野拓実、レギュラー奪取の近道はフィルミーノとの「共存」にあり (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 このフィルミーノとポジションが重なっているのが南野拓実だ。

 4−3−3の場合はCF、4−2−3−1の場合はトップ下で、プレー位置が被る。実際、10月21日のCLアヤックス戦と24日のシェフィールド・U戦の両方で、日本代表FWはフィルミーノと入れ替わりでピッチに入った。

 だが、ふたりのプレースタイルは大きく異なる。

 南野が得意とするのは、ペナルティエリア付近でフリースペースに侵入し、パスを受けて鋭いターンで突破するプレー。あるいは、クロスボールが入りそうになれば、空いているスペースに入り込んでシュートを放つ。「周囲を生かす」というよりも、「生かされてこそ輝く」タイプだろう。

 もうひとつの武器が、前線から強度の高いディフェンスができる点。運動量も豊富で、前線から中盤にインテンシティを注入できる。守備強度と運動量で言えば、南野はブラジル代表FWを上回っている。

 実際、南野は後半15分から出場したアヤックス戦で効いていた。1点を追いかけるアヤックスに対し、前線から積極的に守備で貢献。相手が前がかりになったところを突き、カウンターからチャンスも作った。守備に強く、縦に速い攻撃でチャンスに絡む----。まさに、南野の特性が生きる展開だった。

「タキ(南野)はマシーンだ。あらゆる場所にいた。悪魔のようなディフェンスをし、攻撃面でも本当によく関わっていた。攻守両方でよく動き、ライン間で信じられないようなプレーをした」。クロップ監督もそう評価していた。

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 現状として、南野はフィルミーノのバックアッパーの扱いになっている。だが、そのブラジル代表FWとの共存が、レギュラー奪取のポイントになるように思う。

 8月に行なわれたアーセナルとのコミュニティーシールドでは、ブラジル代表FWをトップ下に、南野を左MFに入れた4−2−3−1を後半途中から採用。この試合で、日本代表は貴重な同点弾を奪った。

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