南野拓実がCL開幕戦で見せた役割。0トップで出場時間は増える (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AP/AFLO

 この日は、ジェイムズ・ミルナー(右インサイドハーフ)、ジョルジニオ・ワイナルドゥム(アンカー)とともに、4-3-3の右インサイドハーフとして19歳のカーティス・ジョーンズが先発を飾った。ジョーンズより通常、プライオリティが高いのは、ジョーダン・ヘンダーソンになるが、ここはテストだったのだろう。

 だが、ユルゲン・クロップ監督はこのテストを45分で断念する。ヘンダーソンを後半の頭から投入する采配に、苦戦する姿は浮き彫りになった。

 決勝ゴールが生まれたのは前半35分。左からマネがサラーに送ろうとしたボールを、アヤックスの左SBニコラス・タグリアフィコが自軍ゴールに蹴り込んでしまうという、不運なオウンゴールだった。

 アヤックスは、その2分前にクインシー・プロメスが、その9分後にはドゥシャン・タディッチが、決定的なシーンを迎えていた。後半開始早々には、デイヴィ・クラーセンがポスト直撃弾も放っていた。スコアこそリバプールの0-1だったが、2年前の王者としては喜べない展開が続いていた。

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 南野拓実がクロップ監督に呼ばれたのは、後半10分。ユニフォームに袖を通し、実際にヨハンクライフ・アレーナの土を踏んだのは後半14分だった。CLの舞台に立つのは通算8試合目。ザルツブルグ時代に6試合(510分)。リバプールでは、昨季の決勝トーナメント1回戦、対アトレティコ戦の延長後半8分からの出場だった。

 1点リードとはいえ、劣勢の状態で送り込まれた価値ある出場と言えるが、この時、クロップは一遍に3人を代えていて、ピッチを去った選手は前線の大物選手3人組(マネ、フィルミーノ、サラー)だった。さあこれから佳境という段で、大物FW3人を一挙に代えてしまったこの采配は、意外と言えば意外だった。

 CLは今季も選手交代枠5人制で行なわれる。一方、プレミアリーグは3人制だ。昨季の5人制から従来の3人制に戻している。プレミアのリズムで戦っていては、今後のCLの戦いに影響が出る。使える駒を増やしておかないと、CLの終盤の戦いで息切れすると、クロップが踏んだとしてもおかしくない。

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