「久保建英は頭がいい」。スペインの慧眼が日本人4人の序盤戦を語る (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

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 そしてアラベス戦も、後半残り15分での出場となった。この日は、左サイドでの起用だった。チームがリードしていたため、ディフェンシブな仕事がメインだった。それまでの2試合と比べると、ボールを触る機会は少なかったと言えるだろう。自陣でカウンターの起点になろうとしたが、警戒されたディフェンダーにファウルで潰されている。

 私的な見解を述べるなら、久保は右サイドのほうが最大限に力を発揮できるだろう。逆足のほうが、(左足で)中に切り込むプレーは容易いし、ダイアゴナル(対角線)の動きでゴールに迫りやすい。基本的にはアウトサイドよりもインサイドの位置、トップ下に近いゾーンに入って、相手に脅威を与えられる選手だ。

 もっとも、アラベス戦では終了間際には左サイドでうまくボールを引き出し、エリア内まで入ってシュートに持ち込んでいた。

 久保は、交代で入った直後から違和感なくプレーしていた。ビジャレアルというチームにとって、今後はとても利用価値の高い選手になるだろう。その実力はすでに、日本代表、マジョルカなどで示してきたとおりだ。

○乾貴士

 乾は、主に左サイドを戦場にしている。ロシアワールドカップでの日本代表のポジションと同じで、利き足と違うサイドでプレーする「逆足」。ただ、試合中にサイドを変えることで、相手を混乱させられる。

 ビジャレアル戦では、左サイドから積極的に仕掛け、エイバルの有力な攻め手となっていた。シュートだけでなく、切り返してのクロスも可能性を感じさせた。ビルバオ戦でもキケ・ガルシアに送ったクロスは質が高かった。

 乾は、高いスキルを持った選手だけに、ボールを持った時のプレーが目立つのだろう。しかし、私はボールを持っていない時の動きに、最大限の評価を与えたい。エイバルでプレーを重ねる中で、ラインを保ったディフェンスができるようになって、タイミングやポジショニングが改善された。基本的なことだが、中をしっかりと絞って、容易にはパスを通させていない。

 チームの攻守のバランスを取るため、勤勉にプレーできる攻撃的選手だ。激しくハードワークをすることによって、試合終盤にかけて動きが落ちることも避けられない点はあるが、戦術的に成長を遂げた選手と言える。ホセ・ルイス・メンディリバル監督の信頼も厚い。今や計算できるアタッカーだ。

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